超音波骨折治療器『アクセラス』
せたがや岡田整形外科では、超音波骨折治療器「アクセラス」を用いた骨折治療を導入しています。この機器は低出力超音波パルス Low intensity pulsed ultrasound(LIPUS)と呼ばれる特殊な超音波で、骨折部位に照射することにより、骨折の早期癒合を獲得することができる治療方法です。この治療法は、有名なサッカー選手や野球選手が骨折治療のために受けたことで多くの注目を受けています。
超音波による刺激を骨折部位に当てることにより、骨折部位に超微細な刺激が加わります。この力学的負荷を受けたことにより骨を作る骨芽細胞や骨細胞の分化が起こり、骨癒合能が促進されると考えられています。
これまでの研究から骨折の治療期間が約38% (脛骨骨幹部骨折では58日1、橈骨遠位端骨折で37日2)短縮が認められたと報告されています。通常の骨折よりも癒合が悪いと言われている骨折で、骨癒合促進効果を発揮することも報告されています。
使用方法は、骨折した部位に1日1回20分、「アクセラス」を用いて低出力超音波パルスの照射を行います。骨折部位にしっかりと照射するために、医師の診察により照射する部位を確認してから使用を開始します。医療機関では超音波は腹部や産婦人科領域で痛みのない安全な画像検査として広く用いられています。治療器にゼリーをつけて骨折部位に当てるだけになりますので、照射中の痛みや違和感などをありません。
当院では自宅への機器の貸出は行っておりません。この治療で最大限の骨折治癒促進効果を獲得するためには可能な範囲で来院していただき、超音波骨折治療器「アクセラス」を使用していただくことをお勧めしています。
1.Heckman JD, Ryaby JP, McCabe J, et al. Acceleration of tibial fracture-healing by noninvasive, low-intensity pulsed ultrasound. J Bone Joint Surg Am 1994 ; 76(1) : 26-34
2.Kristiansen TK, Ryaby JP, McCabe J, et al. Accelerated healing of distal radial fractures with the use of specific, low-intensity ultrasound. A multicenter, prospective, randomized, double-blind, placebo-controlled study. J Bone Joint Surg Am 1997 ; 79(7) : 961-73.
超音波診断装置(エコー)
当院ではコニカミノルタ製SONIMAGE MX1を用いた超音波診断を行っております。
現在でも整形外科診療において最も重要な画像診断は、骨格を明瞭に視覚化する単純X線(レントゲン)写真です。しかし関節や脊椎などの運動器すべてを診療の対象とする整形外科診療では、筋肉や末梢血管、腱組織などの軟部組織を視覚化する超音波診断装置は診療を大きくサポートします。もちろん軟部組織の正確な診断に適している画像診断はMRIとなりますが、撮像にかかる時間や費用コストが高いため、限られた疾患で適応となります。
超音波診断装置(エコー)は、外来診療の際に診察室で迅速に筋肉や腱など軟部組織の画像診断ができます。単純X線と違い放射線被爆がないことも大きなメリットで、妊婦さんや小さいお子さんでも安心して画像評価を行うことができます。
超音波診断装置(エコー)のもう一つの良い点は、リアルタイムに画像が得られるために身体を動かしながらの画像評価ができることです。筋肉や腱が体内でどのように動いているか、痛みやしびれがなぜ起きているのか、血管内の血流の評価も可能です。
さらに、超音波診断装置をみながら注射を行うことにより、治療にも応用することができます。画像評価をしながら正確に神経周囲、関節内、筋膜間を確認し、ターゲットとするV2薬液を注入することができます。代表的な超音波を用いたブロック注射による治療として、当院では頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症に対する超音波下神経根ブロックに使用しています(予約制)。以前は、大きな病院の中の単純X線透視装置でしか行う事ができず、針を挿入したときの疼痛が強いことが問題でした。現在は頚椎の神経根を超音波診断装置で描出することで、痛みが少なく、安全かつ正確な神経根ブロックを行うことが可能です。